枝豆の葉のお茶は、夏の枝豆の香りとさわやかな甘さが特徴
枝豆の葉は、ご存知ですか?
2022/10の枝豆畑
以前は枝ごと束ねて枝豆が店頭に並んでいたのですが、最近は莢のみを袋詰めされていることが一般的ですので「葉」がどんな形だったか、実はあまり知られていないかもしれません。
枝豆の葉はこんな形。
枝豆の葉
枝豆の本葉はこの写真のように、三つに分岐しています。マメ科植物の特徴である、葉柄や小葉などの基部にやや膨らんだ葉枕(ようちん)が枝豆にもあります。
この鮮やかな緑の葉が初夏の日差しをたくさん浴びて、豆にエネルギーを蓄えます。
この枝豆の葉は、枝豆が収穫される際に廃棄されてしまいます。
大豆として収穫する時期はほぼ枯れてしまっていますが、枝豆の時期はまだまだ力強い緑色の葉が繁っています。
これだけ生命力にあふれている葉を廃棄せずに、何かに利用できないか?と思い、種々検討の結果、葉を乾燥させてお茶にしてみました。
陰干し乾燥させた枝豆の葉。
乾燥させた枝豆の葉
乾燥させた葉は、お茶屋さんにお願いして、破砕して茶葉の形に加工しました。
またさらに粉末への加工もお願いしました。かなりの微粉末になりました。
加工後の枝豆の葉
実は、枝豆の葉は、生をかじるととても苦いのです。
しかしながらこのように乾燥させた加工品では、その苦さは、ほぼなくなっています。
これは緑茶と同様で、採取後に蒸すなどして葉の中の酵素を不活化しないと、成分が変化するのだと思います。
茶葉をティーバッグにして、お茶をいれるとこんな感じ。
ティーバッグのお茶
葉の緑からは想像できない、澄んだほうじ茶のような色のお茶になります。
ティーバッグの中の葉は青々としています。
夏の枝豆を想わせる香りと、すっきりとした甘さが特徴です。
茶葉をすこし焙煎すると、香りと甘さはさらに強くなります。
粉末はパンやうどんを作るときに小麦粉にまぜると、調理後でもあざやかな緑色を保ちつつ、特徴的な香りも残ります。
こんな発見の多い枝豆の葉ですが、実は成分にも特徴があります。
抗酸化作用を持つポリフェノールの含量が、実はとても高いのです。
乾燥させた枝豆の葉100gあたり1,700mg以上のポリフェノール(没食子酸換算)が含まれています。
お茶1杯(200ml)に20gを使用する場合、100mlあたり170 mgのポリフェノールが含まれます。
これは緑茶やコーヒーとおなじぐらいの含有量なのです1)。
そしてこのポリフェノールは水溶性なので、抽出には熱水が最適です。
まだまだ知られていない、たくさんの可能性を秘めた枝豆。
美味しい豆を楽しむ以外の機能も、追及していきたいと思います。
1)Fukushima Y et al., J Agric Food Chem 2009; 57: 1253-59.